Salesforceとエクセルの二重管理を防ぐには。予算実績だけの営業会議から抜け出す2つの見直し

2026年10月13日

この記事の要点

  • 問題点:エクセルが営業管理の主になると、Salesforceとの二重入力になり、Salesforceが使われなくなる。会議は予算実績という結果の数値が中心になり、今やるべき行動をマネジメントできなくなる
  • 解決策:Salesforceの利用目的を確認して、会議で見るKPIと順番を標準のレポート・ダッシュボードに残し、予算実績は「結果」として分けて持つ
  • 効果:会議の話題が「次に何をするか」に戻り、二重入力も減るはずです。AIで予算実績の作り込みは減るが、会議で何を見るかを決めることは残る

Salesforceとエクセルの二重管理は、なぜ起きるのか

Salesforceを導入して数年たつと、営業会議の資料が、いつの間にかエクセルの予算実績表になっていることがあります。営業は、Salesforceとエクセルの両方に入力することになります。

エクセルとの二重管理から、Salesforceが使われなくなる。これは、私が見てきた中で、最も多いパターンです。よくある経過は、次の2つです。

会議を主導する人が替わり、エクセルに戻る

ある会社では、導入から3年、週1回の営業会議で、商談の進み具合と月末の受注見込金額を、Salesforceのレポートで確認していました。会議を主導する人が交代したあと、レポートを出力して作るエクセルが会議資料になり、会議は予算比・前年比の確認が中心になりました。

予算実績をSalesforceで再現しても、エクセルに戻る

電子機器メーカーでは、導入前からの予算実績のエクセルを、Salesforceでも見たいというご要望がありました。予算と実績を入れる専用の入れ物(カスタムオブジェクト)、予算の入力画面、基幹システムから実績を毎日取り込む仕組みを作りました。ただ、担当者の異動や予算の付け替えに伴う修正を社内で回しきれず、エクセルに戻りました。

問題は、予算実績だけでは行動をマネジメントできないこと

2社に共通しているのは、会議が予算実績中心になり、営業の行動を見る指標(KPI)が使われなくなったことです。

予算実績は、結果の数値です。結果を見ても、今週、誰が何をすべきかは分かりません。

原因は、会議を主導する人や営業の側にはありません。「Salesforceは、KPIで営業の行動をマネジメントするためのもの」という利用目的が、社内で共有され、引き継がれていなかったことにあります。

見直すこと1:利用目的を確認し、会議で見るKPIと順番を残す

まず、提案時の資料を見返し、プロジェクトを主導するメンバーで、Salesforceの利用目的を再確認します。目的は、KPIを通じて営業の行動を見て、一人当たりの商談数や商談金額を高めることです。

次に、会議で見るKPIと見る順番を決め、標準のレポートとダッシュボードに残します。会議は、その画面を見ながら進めます。

会議で見るものの例

  1. 今月の受注見込み(目標に足りるか)
  2. 商談数・商談金額(新しい商談が作れているか)
  3. ルールから外れている商談(担当者と次の行動を決める)
  4. 予算実績(最後に、結果として確認する)

3つ目の「ルールから外れている商談」は、Salesforceがマネジャー向けのKPIの例として示しているものです。たとえば、次のような商談です。

  • 今月受注予定なのに、この1週間、活動がない商談
  • 進行中なのに、完了予定日が過ぎている商談
  • 同じフェーズに長く止まっている商談

日数などの基準は、会社ごとに決めてください。会議の型が画面に残っていれば、主催者が替わっても、同じ会議を続けられます。

見直すこと2:予算実績は「結果」として分けて持ち、会議の主役にしない

予算実績を見ること自体は大切です。変えるのは、位置づけです。Salesforceが示しているKPIの例でも、予算と実績は、パイプラインや新規商談の数、ルールから外れた商談と並ぶ、指標の1つです。

受注と売上は分けて持つ

多くの会社では、受注と売上は、発生するタイミングが違います。

受注売上
発生するとき商談が決まったとき出荷・請求のとき
管理する場所Salesforceの商談基幹システム

Salesforceで予算実績を見ることは、標準機能でもできます。よく行うのは、カスタムオブジェクトに、基幹システムの売上と予算を入れて見る方法です。

どこで見る場合でも、予算実績は、会議の最後に確認する「結果」として扱います。会議の時間の多くは、KPIと次の行動に使います。

Salesforceの導入を依頼するとき、提案を受けるときは、「会議で何を見るのか」「予算実績をどう扱うのか」を確認してみてください。

AIで変わること、変わらないこと

これまでは、予算実績をSalesforceで見るために、予算の入力画面や、基幹システムからの取り込みの仕組みを開発していました。AI時代には、この開発が要らなくなります。

私は以前、Claudeで、Googleシートの予算とSalesforceの受注実績を、担当者別・月別に突き合わせる検証をしました。

AIで予算実績管理の集計作業を自動化 https://note.com/nueshima/n/n9ab5929bff30

実績はSalesforce、予算はエクセル、原価は基幹システムと、データが3か所に分かれていても、Claudeがそれぞれから集めて、ダッシュボードを作ってくれます。予算実績を「どこで管理するか」で悩む必要も、そのための開発も少なくなり、会議の時間をKPIと次の行動に使えます。

ただし、AIは決めた基準に従って作業します。会議で見るKPIと順番、予算実績の数字の決め方(受注で見るか売上で見るか、締め日はいつか)は、会社として決めておく必要があります。

まとめ:効果・メリット

見直す2つのこと

●利用目的を確認し、会議で見るKPIと順番を残す

●予算実績は「結果」として分けて持ち、会議の主役にしない

  • 会議の話題が、結果の確認から、「次に何をするか」に戻ります
  • エクセルとの二重入力が減り、営業の手間が少なくなるはずです
  • 会議を主導する人が替わっても、同じ会議を続けられます

私たちにとっても、予算実績を再現する開発と保守が減り、KPIの設計と、稼働後のAI活用の支援に時間を使えます。

AIで、予算実績の作り込みは減ります。でも、会議で何を見るかを決めることは、残ります。

まずは、直近の営業会議の資料を開いて、来週の行動につながる数字がいくつあるか、数えてみてください。


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