Salesforceのデータ移行で、データクレンジングは誰がやるか。Excelの顧客データを整える2つの決めごと

2026年10月9日

この記事の要点

  • 問題点:Excelで手入力された顧客データは、お客様自身では整形しきれず、移行の準備が進まない。稼働の時期も読めなくなる
  • 解決策:契約前に、元データの状態を見て、誰が・どこまで整えるかを決める。あわせて、整形のルール(何を正とするか)を決め、移行後は同じ汚れを作らない入力の形にする
  • 効果:移行の準備が止まらず、検索や集計ができるデータで稼働を始められるはずです。AIで整形の作業は大きく減るが、何を正とするかを決めることは残る

Salesforceのデータ移行で、よくある状態

Excelで手入力された顧客データには、電話番号の先頭の「0」が消えている、和暦と西暦とテキストが混ざった日付、1つの欄に複数のメールアドレスとメモが入っている、といった状態がよく見られます。

士業の事務所の例です。旧データを確認すると、電話番号の先頭の「0」が落ち、生年月日は和暦のテキストと日付が混在し、メールアドレスの欄に複数のアドレスやメモが入っていました。データクレンジング(データを整える作業)は、お客様が行うのが一般的で、データはお客様の資産であり、業者が修正すべきものではない、という考え方もあります。この案件も、契約上は、お客様が整える前提でした。ただ、実際にはお客様自身で整えることが難しく、プロジェクトを進めるために、私たちが整形し、予定していた移行の時期が後ろにずれました。こうしたことは、少なくありません。

手入力のExcelは、形式がそろっていません。一括で変換するマクロなどの方法も、社内に用意されていないことが多いと思います。移行の準備が進まず、稼働の時期が読めなくなります。原因は、お客様の努力ではなく、「お客様が整える」という前提が現実と合っていないこと、そして誰が・どこまで整えるのかを前もって決めていなかったことにあります。

見直すこと1:契約前に、誰が・どこまで整えるかを決める

提案の段階で、元データのExcelをサンプルとして見せてもらい、状態を見て、次のどれにするかを決めます。

  • お客様が整える
  • ベンダーに依頼する
  • アルバイトや、外部の業者に依頼する

あわせて、費用と、納期への影響も確認します。ベンダーが整える場合は、データはお客様の資産という考え方を尊重して、どこまで行うのかを契約に書いておきます。お客様の業務や契約の条件によって変わるため、どれが正解、というものではありません。

Salesforceの導入を依頼するとき、提案を受けるときには、「データの整形は、誰が、どこまで行うのか」を確認してみてください。

見直すこと2:整形のルールを決め、移行後は同じ汚れを作らない

整形のルール(何を正とするか)は、お客様の業務の判断です。和暦は西暦にそろえるのか、1つの欄に複数のアドレスがあるときはどれを正とするのか。私たちが代わりに決めることはできません。

移行後は、選択リストや入力規則を使い、同じ形のデータだけが入るようにします。どちらもSalesforceの標準の機能です。新しく独自のルールを作り込むことは、おすすめしません。

AIで変わること、変わらないこと

従前は、お客様がひな形に入力し直したり、マクロを使ったりして整え、難しければベンダーが手作業で整えていました。現在のプロジェクトでは、次の流れで、Claudeを使って進めています。

  1. 項目定義書(データ型や必須の設定が書かれたもの)をClaudeに読ませる
  2. 移行対象のデータのExcelを読ませる
  3. 項目のマッピング(Excelの列を、Salesforceのどの項目に入れるかの対応づけ)を指示する。マッピング先が分からないときや矛盾があるときは、Claudeが質問し、提案する
  4. マッピングが決まると、Claudeが直す必要がある箇所を抽出する
  5. Claudeが整形する。分からない点や値がない箇所は、こちらに依頼が来る
  6. Excelに出力して、お客様に追記をお願いする
  7. 返送されたあと、Claudeがインポートする

従来のやり方とは、劇的に変わりました。今後は、お客様もベンダーも、データ整形という煩わしい作業から解放されると考えています。

ただし、整形のルールを決めること、結果を人が確認すること、値がない箇所をお客様の業務を知る人が追記すること、そして、お客様のデータ(個人情報を含みます)をAIにどこまで渡してよいかを確認することは、残ります。

まとめ:効果・メリット

見直す2つのこと ●契約前に、元データの状態を見て、誰が・どこまで整えるかを決める ●整形のルール(何を正とするか)を決め、移行後は同じ汚れを作らない

  • 移行の準備が止まりにくくなり、稼働の時期が読みやすくなります
  • 検索や並べ替え、集計ができるデータで、稼働を始められるはずです
  • お客様自身が、手作業の整形に追われなくて済みます

私たちにとっても、移行直前の手戻りが減り、稼働後の運用支援やAI活用の提案に時間を使えます。

AIで、整形の作業は大きく減ります。でも、何を正とするかを決めることは、残ります。まずは、手元の顧客リストのExcelを1つ開いて、電話番号の先頭の「0」や日付の形を、5分だけ見てみてください。


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