2026年10月5日
この記事の要点
- 問題点:受注後の作業がベテランの頭の中にしかないと、新人やアルバイトでは回らず、漏れが出て、教える手間もかかる
- 解決策:受注内容ごとに「何を、いつまでに、誰がやるか」をルールにして、標準のToDoとして商談に残す。AI時代は、そのルールをスキルに書く
- 効果:新人やアルバイトでも漏れなく動けて、教育の手間が減る。AIでToDoの自動作成の開発は不要になるが、どの注文のときに何をするかを決めることは残る
問題点:なぜ、受注後の作業で漏れが出るのか
受注が決まったあとには、請求、手配、案内、点検など、会社ごとに決まった作業があります。多くの会社で、その段取りはベテランの頭の中にあります。
受注の内容によって、やることも期限も変わります。そのため、新人やアルバイトは、人に聞かないと動けません。聞かれたベテランも、そのたびに手が止まります。そして、聞き忘れや教え忘れのところで、漏れが出ます。
原因は、担当者の方の力不足ではありません。「何を、いつまでに、誰がやるか」が、会社のルールとして決まっていないことにあります。
事例:受注の内容で、やることと期限が変わる旅行代理店
旅行代理店では、受注が決まると、出発日と帰着日から逆算して、十数本の作業が決まります。出発の30日前、7日前、帰着の7日後といった期限が、受注ごとに変わります。
この会社では、作業の漏れを防ぎ、ベテランにしか分からない作業を新人やアルバイトでもできるようにするため、正式な受注にした時点で、ToDoを日付つきで自動作成する仕組みを作りました。
見直し1:受注の内容ごとに、「何を、いつまでに、誰がやるか」をルールにする
期限は、「基準になる日から何日前・何日後」の形で決めます。受注の内容によって期限が変わるところまで、はっきりさせておきます。
ルールを決めるときの手順の例です。
- 受注後の作業を、今の紙やExcelの手順書、ベテランへの聞き取りから書き出す
- それぞれの作業の、基準になる日(出発日、工事完了日など)を決める
- 基準の日から何日前・何日後か、誰が担当するかを決める
- 受注の内容によって、作業や期限が変わる条件を書き出す
ルールの書き方の例です。
| 作業 | 基準になる日 | 期限 | 担当 |
|---|---|---|---|
| オプションの回収 | 出発日 | 30日前 | 営業担当 |
| 発券 | 出発日 | 7日前 | 手配担当 |
| 最終精算 | 帰着日 | 7日後 | 経理担当 |
基準になる日が、Salesforceの標準の項目で足りるかを、先に確かめます。足りなければ、商談に項目を追加して構いません。
ルールの中身は、お客様の業務そのものです。導入を支援する側が代わりに決めるものではなく、お客様が決めることです。
事例:設備の会社では、工事が完了した日を基準に、点検のToDoを作成しました。業種が違っても、「基準になる日からの日数で決める」という考え方は同じです。
見直し2:やることは、標準のToDoとして商談に残す
決めたルールは、Salesforceの標準のToDo(活動)として、商談に残します。新しく独自の管理表や画面を作る必要はありません。
そのうえで、標準のリストビューで、次のような一覧を用意します。
- 今日やること(期限が今日のToDo)
- 明日やること(期限が明日のToDo)
- 期限が過ぎているもの(期限が今日より前で、完了していないToDo)
日々の確認では、この一覧を見ると決めておきます。人の記憶ではなく、一覧で確認できる状態にすることで、担当が変わっても段取りを引き継ぎやすくなります。
なお、導入の提案の段階で、今お使いの紙やExcelの手順書を見せていただくことも大切です。すでに運用されている段取りを、先に把握できるからです。
AIに任せるとできること
ここまでが、従前のやり方です。ToDoを自動作成するフローを開発して、保守する。受注後の状態が戻ったときの作り直しなど、細かな対応も必要でした。
AI時代には、この部分が大きく変わります。
「どの注文のときに、どのToDoを、誰に発行するか」を、スキル(Claudeに渡す手順書)に書いておけば、Claudeが実行してくれます。ToDoの発行だけでなく、メールの作成と送信、期限の前の通知も、プロンプトだけで可能です。ToDoを自動作成するフローは、作る必要がなくなります。
スキルに書く内容は、見直し1で決めたルールそのものです。たとえば、「正式な受注になった商談で、出発日の30日前を期限に、担当営業に『オプションの回収』のToDoを作る」のように書きます。
Claudeに、Salesforce、Gmail、Google Driveを1つの指示で横断してもらった体験は、以前の記事で書きました。業界の慣行に沿ったメールの文面を、指示しなくても作ってくれました。
▶ SalesforceとGoogle DriveをAIで接続、自動マッチングを開発なしで実現。
https://note.com/nueshima/n/n896795debf86
定時に動かして、期限が近いものを知らせる使い方は、未入金の督促の記事で書いています。
▶ Claude×freee×Salesforceの連携で「未入金督促」を自動化
https://note.com/nueshima/n/n0b11b357e606
メールを自動で送信する場合は、誤送信に注意が必要です。まずは下書きとして作り、送る前に人が確認する運用から始めるのも、一つの方法です。
AIで要らなくなるのは、ToDoを自動作成するフローの開発です。「どの注文のときに、どのToDoを、誰に、いつまでに発行するか」を決めることは、AI時代にも残ります。
効果:見直したあと、何が変わるか
見直したあとは、お客様にとって、次のような変化が期待できます。
- 新人やアルバイトでも、漏れなく動けるようになります
- ベテランに聞く手間と、教える手間が減ります
- 担当が変わっても、段取りを引き継ぎやすくなります
私たちにとっても、ToDoの自動作成フローの開発や保守が減るはずです。その分の時間を、ルールを決める支援や、稼働後のAI活用の提案に使えます。
まとめ
見直す2つのこと
●受注の内容ごとに、「何を、いつまでに、誰がやるか」をルールにする
●やることは、標準のToDoとして商談に残す(AI時代は、ルールをスキルに書く)
AIで、フローの開発は不要になります。でも、何を、いつまでに、誰がやるかを決めることは、残ります。
まずは、直近で受注した商談を1件、開いてみてください。このあと必要な作業の期限と担当者を、見ないで言えるでしょうか。
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