2026年10月16日
この記事の要点
- 問題点:買わない理由は複数あるのが普通で、会議や報告のために全部を同じ重さで残すと、決め手となる1つが分からず、傾向が読めない
- 解決策:決め手となる理由を1つ選ぶ項目を持ち、それ以外の理由も従来どおりすべて残す。会議では、決め手を失注前のフェーズとあわせて見る
- 効果:負けた理由の傾向が見え、次の打ち手を会議で話せるようになるはずです。AIで理由の整理は減るが、何を決め手とするかを決めることは残る
Salesforceの失注理由で、何が起きるのか
営業会議で、買わなかった理由を聞くと、理由がいくつも挙がります。予算、ローン、時期、ご家族の反対。どれも本当のことです。
ところが、会議は「結局、どれが決め手だったのか」で止まってしまうことがあります。
失注した商談は、次の営業の材料になります。ただ、失注の理由が整理されていないと、その材料を活かせません。
マンションメーカーの事例
分譲マンションを販売する会社の、モデルルームでの接客記録の入力画面です。購入を決めない理由は、予算、ローン、時期、場所、広さ、間取り、ご家族の反対など、マンションなので実際に多くあります。
そこで、この会社では、購入を決めない理由を15の選択肢にしました。その中から「最も強い理由」を1つ選んでもらい、ほかの理由はチェックで残す形にしました。
原因は、決め手とほかの理由が区別されていないこと
買わない理由は、複数あるのが普通です。会議や報告のために、できるだけ多く残しておきたい。そう考えるのは、自然なことだと思います。私は、理由を多く残したくなるのは、会議や報告のためだと考えています。
ただ、すべてを同じ重さで残すと、決め手となる1つが分かりません。件数を集計しても、「理由が多い」ことしか見えず、傾向が読めません。
原因は、営業の入力の仕方ではありません。決め手の理由と、それ以外の理由が、区別されずに残されていることにあります。
見直すこと1:決め手となる理由を1つ選ぶ項目を持ち、ほかの理由も残す
失注の理由を、2つの層で持ちます。
| 決め手となる理由 | それ以外の理由 | |
|---|---|---|
| 役割 | 会議で傾向を見る | 報告や掘り下げに使う |
| 選ぶ数 | 1つだけ | いくつでも |
| Salesforceの項目 | 選択リスト | 選択リスト(複数選択) |
| 例 | 予算、ローン、時期、ご家族の反対など | 決め手以外に挙がった、すべての理由 |
選択リストは、あらかじめ決めた選択肢から選ぶ項目です。どちらも、Salesforceの標準機能で設定できます。
そして、「1つ選ぶ基準」を、会社として言葉にしておきます。たとえば、「お客様が最後に決め手として挙げた理由」のように、誰が選んでも同じになる基準です。何を基準にするか、どんな選択肢にするかは、お客様が決めることです。
マンションの事例も、同じ形でした。決め手を1つ残し、それ以外は従来どおり残す。この形なら、新しく独自の項目や計算式を作り込む必要はありません。作り込まず、標準の使い方で足ります。
見直すこと2:会議では、決め手を、失注前のフェーズとあわせて見る
会議で見るのは、決め手の理由別の件数です。ほかの理由は、掘り下げたいときに見ます。
そこに、「どこまで進んで失ったか」を重ねます。Salesforceが示している指標の例にも、失注前のフェーズや、直近の失注数があります。標準のレポートとダッシュボードで見られます。
| 見るもの | 分かること |
|---|---|
| 決め手の理由別の件数 | 負けた理由の傾向 |
| 失注前のフェーズ | どこまで進んで失ったか |
| 直近の失注数 | 最近の増減 |
たとえば、「予算」が決め手の失注が、提案のあとに集中している。そうしたことが見えれば、次の打ち手を会議で話せます。
何をどの期間で見るかは、お客様が決めてください。まずは、この2つ程度に絞ることをおすすめします。
AIで変わること、変わらないこと
従前のやり方は、営業が、15の選択肢から決め手を選び、ほかの理由もチェックする、というものでした。入力の手間はかかります。選択肢に収まらない理由は、「その他」に溜まっていきます。
AI時代には、この整理を、AIが引き受けられると考えています。自由記述のメモや議事録から、Claudeが理由を拾い、決め手の候補を示す。私自身が失注理由の分類を試した経験はありませんが、プロンプトで可能だと考えています。
議事録から商談を更新する体験は、以前の記事に書きました。
ただし、AIが決め手を決めるわけではありません。何を決め手とするのか。その基準は、会社として決める必要があります。選択肢を見直すことも、AIが示した決め手が実態と合っているかを確認することも、人の仕事として残ります。
まとめ:効果・メリット
失注の理由で見直す2つのこと
●決め手となる理由を1つ選ぶ項目を持ち、ほかの理由も従来どおり残す
●会議では、決め手を、失注前のフェーズとあわせて見る
- 負けた理由の傾向が見え、次に何を打つかを会議で話せるようになるはずです
- ほかの理由も残っているので、報告や、掘り下げて確認したいときにも使えます
- 「結局どれが決め手だったのか」で会議が止まることが、減るはずです
私たちにとっても、個別の入力画面や集計の開発が減ります。そのぶん、会議で見る指標の整理や、稼働後のAI活用の支援に、時間を使えます。
AIで、理由の整理は減ります。でも、何を決め手とするかを決めることは、残ります。
まずは、直近で失った商談を3件開いて、決め手を1つだけ言えるかを、確かめてみてください。
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