Salesforceの提案で、標準機能か開発かを見逃さない|契約後の追加要望を対象範囲外にしないために

2026年10月28日

この記事の要点

  • 問題点:標準機能で足りるか、開発が必要かは、お客様には判断できません。提案時の話で開発すべき要件が拾われないと、契約後に範囲外となり、追加の費用や手間になる。
  • 解決策:困っていること、解決したいことを、機能名ではなく業務の困りごととして提案のときに伝える。提案時に伝えた課題を対象範囲とし、それ以外は範囲外と、書面で合意する。
  • 効果:見積と実際のずれが減り、範囲外の要望が出ても、費用を見て選べるはずです。AIで入力の作業は減りますが、何を困りごととして伝え、範囲をどう決めるかを決めることは残ります。

契約後に出た要望は、対象範囲外になる

Salesforceの導入では、契約のあとに「そういえば、これもできるようにしたい」という要望が出ることがあります。

提案のときに伝えていなかった課題は、解決の対象範囲外です。範囲外は、不具合でも手抜きでもありません。「追加でご相談する」という意味です。

ここで困るのは、お客様に、標準機能で足りるのか、開発が必要なのかが分からないことです。提案時のざっくりした話の中で、開発すべき要件が拾われないと、契約後に追加の費用や手間が出て、トラブルになりやすくなります。

よくある困りごと

宿泊施設の清掃会社の例です。物件は5〜10ほどで、清掃は毎日あります。宿泊の予定は、宿泊予約サイトからGoogleカレンダーに自動で入ります。

提案のときに伺っていたのは、清掃の記録や作業の管理に関する課題でした。契約のあとに、次の要望が出ました。

  • Googleカレンダーと同期したい
  • カレンダーの画面から清掃予定を登録したい

調べると、Salesforceの標準のカレンダーでは、物件ごとの色分けができませんでした。また、清掃予定を登録するには、取引先の登録が必要でした。

選択肢は2つでした。

方法内容費用
標準画面で運用Googleカレンダーを別の画面で見ながら、取引先、取引先責任者(宿泊所の担当者)、清掃予定を入力する追加なし
画面を開発カレンダーと同じような画面を作る50万円以上の追加費用

この入力は、もともと従来のやり方でも手間のかかる作業でした。そのため、追加の費用をかけるほどではないと、ご納得いただき、標準の画面で運用することになりました。

今回は従来から手間のかかる作業だったので、ご納得いただけました。もし、その要望が業務の中心だったら、契約後の追加の費用は、大きなトラブルになっていたかもしれません。

原因は、お客様の準備不足ではありません。困りごとが機能名や断片的な言葉で伝わり、「何を解決の対象にするか」が提案のときに言葉で確かめられていなかったことにあると考えます。

見直すこと1:困りごとを、業務の言葉で伝える

「カレンダーを連携したい」は、機能の名前です。

「宿泊予約サイトの予約が入るたびに、別の画面を見ながら清掃の予定を手で入れている。これをなくしたい」のように、今、何に困っているのかを業務の言葉で伝えます。

標準機能で足りるのか、開発が必要なのかは、お客様が判断することではありません。判断は、提案する側に任せて大丈夫です。ただし、その判断に必要な材料は、困りごとの形で出していただく必要があります。

提案書には、標準で足りるのか、開発が必要なのか、どちらの前提で見積もったのかを書いてもらいます。

やりたいことを、機能名ではなく業務要求として伝える方法は、こちらの記事に書きました。

その要望、「業務」として伝わっていますか。Salesforceの契約前に、書面で残す2つのこと (公開済みのURLに差し替え)

見直すこと2:提案のときに聞いた課題を対象範囲とし、それ以外は範囲外と、書面で合意する

提案の時点で、困っていること、解決したいことを伝えます。その範囲が、解決の対象です。伝えていない課題は、範囲外になります。

この合意は、メールや箇条書きで十分です。書面に残しておけば、後から「聞いていた」「聞いていない」とならずに済みます。書く内容の例です。

  1. 困っていること(業務の言葉で、3つ程度)
  2. 解決したいこと
  3. 標準機能で足りるのか、開発が必要なのか(提案する側の見立て)
  4. 上記以外は範囲外とし、追加で相談すること

契約後に範囲外の要望が出たときは、標準に合わせるのか、追加で開発するのかを、費用を見て選びます。上の事例では、標準に合わせて運用することを選びました。

Salesforceの標準の使い方に合わせることが基本です。開発が必要になる場合は、その理由(要望と背景)を確かめたうえで、判断することをおすすめします。

AIでできること

以前は、この要望への答えは、2つしかありませんでした。画面を開発する(50万円以上)か、手で入力するかです。

いまは、もう1つの方法が考えられます。Googleカレンダーの予定をAIが読み、取引先、取引先責任者、清掃予定をSalesforceに登録する方法です。プロンプトとスキルで可能だと思います。開発しなくても済む場合があります。ただし、この清掃会社の例で、私が実際に試したわけではありません。

指示の例です。

  • 「今週のGoogleカレンダーの予定から、清掃予定をSalesforceに登録して」
  • 「物件名が取引先にない予定は、登録せずに一覧で教えて」

カレンダーの予定をSalesforceに登録する体験は、以前、営業の日報で書きました。

Salesforceの日報作成を自動化!Claude + MCPで「二重入力ゼロ」の営業DX https://note.com/nueshima/n/nd00424546180

今回は日報ではなく、契約後に出た範囲外の要望を、開発せずに解決できる可能性の話です。

ただし、AIは決めた基準に従って作業します。次のことが決まっていなければ、AIも働きません。

  • 何を取引先の単位とするか(物件ごとか、お客様ごとか)
  • どの予定を清掃予定として登録するか(たとえばチェックアウトの日など)
  • 予約の変更やキャンセルのときに、どう扱うか

AIが登録した結果は、人が確かめることをおすすめします。取引先を間違えて登録すると、あとで探せなくなるからです。そして、何を困りごととして提案のときに伝えるのかは、AIが決めるものではありません。

まとめ(効果・メリット)

  • 困りごとを、業務の言葉で伝える
  • 提案のときに聞いた課題を対象範囲とし、それ以外は範囲外と、書面で合意する

見直したあと、見積と実際のずれが減り、契約後に範囲外の要望が出ても、費用を見て落ち着いて選べるはずです。AIで入力の作業は減りますが、何を困りごととして伝え、どこまでを対象範囲にするかを決めることは残ります。

まずは、今、業務で困っていることを3つ書き出し、手元の提案書に載っているかを確かめてみてください。載っていなければ、それは対象範囲の外にあります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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