Salesforceの確度はフェーズで決める。ABCランクの受注見込から切り替える3つの見直し

2026年9月28日

Salesforceで商談を管理しているのに、受注見込はABCDのランクで判断している。ランク別に金額を集計して、予算と比べている。

Salesforceの導入をお手伝いしてきた中で、導入済みの会社でいちばんよく見かけるのが、この状態です。

この記事では、ランクによる受注見込の何が問題なのかと、Salesforceの標準の機能を使って確度を客観的にする3つの見直しを説明します。AIにパイプラインの集計を任せる前提としても、ここは避けて通れないところです。

この記事の要点

  • ABCDのランクは、営業担当者の主観で決まりやすい
  • Salesforceの確度は、フェーズを選ぶと決まる作りになっている
  • 受注見込金額は、標準の「期待収益」(金額×確度)で出せる
  • フェーズに進む条件は、「パス」の「成功へのガイダンス」に行動として書いておける
  • 会社独自のルールを作り込むより、Salesforceの想定している使い方に業務を合わせるほうが、導入した効果が出る

ABCランクの受注見込で起きていること

ランクは、多くの場合、営業担当者が自分で決めます。「前向きだからA」「様子見だからC」という具合です。

同じAでも、慎重な担当者のAと、楽観的な担当者のAでは意味が違います。それでも、集計すると同じ列に並びます。

さらに、確度を掛けた加重計算をしている会社は多くありません。ランク別の受注金額をそのまま予算と比べるため、Cランクの大きな案件が1件入るだけで、数字の印象が変わってしまいます。

ある検査機器メーカーでも、管理表に「引合ランク」「予算ランク」「時期ランク」がありました。ところが、打ち合わせで最初に出てきたのは「何をもってAとするのか」という質問でした。欄はあっても、誰が付けても同じになる基準はなかったのです。

AIに集計させても、主観は主観のまま

今は、ClaudeなどのAIに「今月の受注見込を集計して」と頼めば、Salesforceの商談からすぐに数字を出してくれます。

ただ、AIは入力されたデータを集計するだけです。ランクや確度が主観で決まっていれば、どれだけ正確に集計しても、数字の根拠は主観のままです。

反対に、フェーズの条件が決まっていれば、AIはチェック役になれます。「見積提出のフェーズなのに、見積が添付されていない商談を出して」と頼めば、基準と実態がずれている商談を探してくれます。

見直し1:ランクではなく、フェーズで確度を決める

Salesforceの商談では、フェーズの選択肢ごとに確度(%)を設定しておきます。担当者がフェーズを選ぶと、確度が決まります。

ランクを別の項目で持つと、フェーズとランクという2つの物差しができてしまいます。ランクで表していた「受注の近さ」をフェーズに置き換え、確度はフェーズから決まる形に揃えます。

あわせて、確度を担当者が手で書き換えられる状態になっていないかも確認しておきたいところです。フェーズを進めても確度だけ手で上書きされていれば、結局は主観に戻ってしまいます。

見直し2:受注見込金額は、期待収益で出す

Salesforceには、金額に確度を掛けた「期待収益」という項目が標準で用意されています。受注見込金額は、これを集計すれば出せます。

会社ごとの事情に合わせて計算式を複雑にするより、この標準の計算に業務を合わせるほうが、長く運用できます。計算式が複雑になるほど、数字の意味を説明できる人が限られます。

例外もあります。ある電気設備工事の会社では、「ゼネコンが決まっていない案件は確度を0.5倍、入札の案件も0.5倍」というルールが以前から使われていて、営業から役員まで共通の認識になっていました。条件はどれも誰が見ても同じ事実で、ルールも単純だったため、この会社では計算式に加えて対応しました。

新しく独自のルールを作ってまで計算を複雑にすることは、おすすめしていません。

見直し3:フェーズに進む条件を、パスで行動として決める

確度を客観的にするためにいちばん大切なのは、人の判断を極力なくすことです。

Salesforceの「パス」では、フェーズごとに「成功へのガイダンス」として、次のフェーズに進むために何をするかを書いておけます。そのフェーズで入力すべき項目(キー項目)も表示できます。

たとえば、次のように行動でフェーズを定義します。

  • ヒアリング:決裁者と面談し、課題と予算を確認した
  • 提案:提案書を提出した
  • 見積提出:見積を提出し、導入時期を確認した

こうしておけば、誰が担当しても、同じ状況なら同じフェーズ、同じ確度になります。

人の「上乗せ」を、できなくする

あるメディア企業では、営業会議の前日に、担当の方が空き枠の状況を見ながら、受注見込に数字を手で上乗せしていました。どの商談にも根拠が書かれていない数字です。

お客様からもこれをやめたいというご要望があり、上乗せ分は項目として持って計算の係数にしたうえで、会議の前日に数字を手で修正することはできないようにしました。

システムの価値は、数字を作れることよりも、根拠のない数字を作れなくすることにあると考えています。

まとめ

  • ABCDのランクをやめ、フェーズで確度を決める
  • 受注見込金額は、標準の期待収益で出す
  • フェーズに進む条件を、パスの成功へのガイダンスに行動として書く

どれも、新しい仕組みを開発する話ではありません。Salesforceにもともとある使い方に、業務を合わせていく話です。それが、Salesforceを導入した価値をいちばん引き出す方法であり、AIに集計を任せる前の準備にもなります。

まずは、Aランクの商談を何件か開いてみてください。なぜAなのかを、担当者以外の人が説明できるでしょうか。

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